沖縄旅行の夜、美味しい泡盛やオリオンビールを飲んで最高の気分になった後、ふと「何で締めようかな?」と迷う瞬間はありませんか?地元沖縄では、ここでラーメンやお茶漬けを選ぶのではなく、なんと熱々のステーキを食べるのが定番のスタイルなんです。初めてこの話を聞くと「深夜にステーキなんて胃もたれしそう…」「そんな重いもの食べられるの?」と驚かれることがほとんどですが、実はこれ、沖縄の気候や歴史、そして提供されるお肉の種類に深い理由があって、意外なほどペロリといけちゃうんですよ。
しかし、かつて「眠らない街」と言われた那覇の深夜営業事情は、ここ数年で劇的に変化しています。「24時間営業だと思っていた有名店が閉店していた」「ネットの古い情報を見て行ったら真っ暗だった」という悲劇が後を絶ちません。2025年に入ってからも老舗の閉店が報じられるなど、情報のアップデートが必須の状態です。
この記事では、沖縄のリピーターであり、常に最新の那覇を食べ歩いている私が、このユニークな食文化の背景と、「今、本当に営業している」国際通り周辺のおすすめ店舗を、最新の閉店情報や営業時間の注意点を含めてシーン別にご紹介します。
国際通りを歩いていると、「ステーキハウス」の看板の多さに圧倒されることでしょう。コンビニと同じくらい頻繁に見かけるこの光景は、沖縄ならではのもの。なぜこれほどまでにステーキ文化が根付いているのか、単なる流行ではなく、生活の一部として定着している理由を深掘りしていきましょう。
本土に住んでいると、飲み会の後の「締め」といえばラーメン、うどん、あるいは雑炊といった炭水化物が王道ですよね。しかし、沖縄県、特に那覇市の繁華街においては「締めステーキ」こそが正義という独自の文化が存在します。このユニークな習慣のルーツを探ると、戦後のアメリカ統治時代(1945年〜1972年)まで遡ることになります。
当時、沖縄には数多くの米軍基地が存在し、アメリカ兵やその家族、軍関係者が街を行き交っていました。彼らの食生活の中心にあったのが、当然ながら「ビーフステーキ」です。基地周辺には彼らをターゲットにしたレストランが乱立し、そこには「Aサイン」と呼ばれる営業許可証が掲げられていました。
米軍が定めた衛生基準を満たした飲食店に与えられた認定証のことです。本土復帰前の沖縄では、このAサインがある店は「衛生的で高級」というステータスを持っていました。(現在は制度廃止されていますが、老舗店には当時の許可証が飾られていることもあります)
当時の沖縄は本土とは異なる関税制度の中にあり、輸入牛肉が比較的安価に、かつ大量に手に入る環境だったのです。この環境下で、地元の人々にとってもステーキは「特別な日の高級料理」であると同時に、「手軽にエネルギーを補給できるスタミナ食」としての地位を確立していきました。
特に、深夜までタクシーを走らせる運転手さんや、歓楽街で働く人々にとって、仕事を終えた後の空腹を満たし、翌日への活力を養うための食事として、高タンパクなステーキは最適だったのです。「酒を飲んで騒いだ後は、肉を食って精をつける」。このバイタリティ溢れる県民性が、時間をかけて一般の観光客や若者にも広がり、現在の「締めステーキ」文化を形成しました。
沖縄のステーキハウスに入ると、多くの店舗でテーブルの上に置かれている茶色いボトル。それが「A1ソース(エーワンソース)」です。イギリス発祥とされ、アメリカを経由して沖縄に広まったとされるこのソースは、沖縄ステーキのアイデンティティそのものと言っても過言ではありません。(※昨今の輸入情勢により一時的に品薄になることもありますが、依然として沖縄ステーキの象徴です)
初めてこのソースを口にする方は、その味に衝撃を受けるかもしれません。醤油ベースの甘辛い和風ソースを想像していると、脳が混乱するほど強烈な「酸味」が襲ってくるからです。一般的な原材料表示を見ると、醸造酢に加え、トマトやレーズン、オレンジなどの果実・野菜が使われており、かなり酸っぱいのが特徴です。しかし、この酸味こそが、深夜の締めステーキを成立させている最大の功労者なのです。
お酒を飲んだ後、私たちの身体はアルコールの分解で疲弊し、口の中も少し感覚が鈍くなっています。そこに、脂の乗った牛肉と、この酸味の効いた濃厚なソースが合わさることで、口の中の脂っぽさがスッと切れ、驚くほどサッパリと感じられるのです。科学的な中和作用というよりも、感覚として「お酢とフルーツの酸味でリフレッシュしながら肉を食べる」という表現が近いかもしれません。
💡 自宅で沖縄気分を味わうなら
「どんな味か気になる!」「沖縄に行くまで待てない!」という方は、実は楽天でもA1ソースが購入できます。
独特の酸味は、スーパーで買った安い赤身ステーキにかけるだけで、一気に現地の味に変わりますよ。豚肉のソテーやハンバーグにも意外と合うので、冷蔵庫に一本あると便利です。
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A1ソースのライバルとして、沖縄のメーカーが開発した「No.1ステーキソース」というものも存在します。こちらはA1よりもスパイスが効いていて、やや日本人好みの味付けになっています。地元の通な食べ方は、これらに大量のおろしニンニクを投入し、さらに醤油を数滴垂らして「自分だけのオリジナルソース」を作ること。深夜のステーキ屋さんは、このソース調合の実験室のような楽しさもあるんですよ。
「いくら美味しいと言われても、深夜2時にステーキなんて食べたら太るに決まってる…」と、ダイエット中の方や女性なら躊躇してしまいますよね。でも、安心してください。沖縄の締めステーキで好まれているのは、本土の高級鉄板焼きで出てくるような「霜降りのサーロイン」ではありません。
沖縄で愛されているのは、圧倒的に「テンダーロイン(ヒレ)」などの脂身が少ない赤身肉なんです。赤身肉は脂肪分が少なく、良質なタンパク質が豊富に含まれています。
例えば、ラーメン一杯の糖質量は、スープや麺の量にもよりますが一般的に約60g台〜80g台になることもあります。一方、牛ヒレ肉(赤身)単体の糖質は非常に低く、100gあたり0.3g〜0.5g程度(※部位やデータにより微差あり)と言われています。もちろんセットのご飯を大盛りにしてしまえば意味がありませんが、ご飯を半分にする、あるいは「肉のみ」で注文すれば、実はラーメンで締めるよりも糖質を大幅に抑えられ、翌日の胃もたれもしにくいというメリットがあるのです。
最近では、私の周りでも「沖縄に行ったら必ずステーキで締める」という女性が増えています。「KikuNiku」のようなお洒落な赤身肉専門店や、女性スタッフだけで運営されている「レストラン碧(へき)」のようなお店もあり、女性一人でもカウンターで肉を頬張る姿は全く珍しくありません。
ここが今回の記事で最も注意していただきたいポイントです。かつて、那覇のステーキ店といえば「24時間営業」が当たり前でしたが、ここ数年で状況は激変しています。ネット上の古いまとめ記事を信じて行動すると、確実に「ステーキ難民」になります。
まず、長年「24時間営業の聖地」として親しまれていた那覇市前島の「ハイウェイ食堂」は、残念ながら既に閉店しています。さらに、その系列店であり、同じく24時間営業の最後の砦と思われていた久茂地の「いちぎん食堂」も、2025年1月に閉店してしまいました。
(出典:沖縄タイムス+プラスなど地元報道を参照)
また、国際通り沿いの店舗も、現在は21時〜22時頃に閉店する店が増えています。では、深夜2時、3時に「どうしてもステーキで締めたい」場合はどうすればいいのでしょうか?答えは、国際通りから少し離れた「松山(まつやま)エリア」で、現在も深夜営業を続けている特定の店舗へ移動することです。
松山は沖縄最大の歓楽街であり、ここにはまだ「朝まで営業」の文化が残っています。国際通りで飲んで、お店が閉まり始める時間になったら、タクシーでワンメーターほどの松山エリアへ移動するのが、現代の「沖縄深夜ステーキ」の正しい攻略法です。
【重要】営業時間の確認を!
Googleマップの情報ですら更新が追いついていないことがあります。特に深夜帯に行く場合は、出発前に電話で「今から行けますか?」と一本確認を入れるのが、沖縄の夜をスムーズに楽しむための鉄則です。
沖縄ステーキの魅力の一つは、その「手軽さ」です。本土でステーキランチを食べようと思うと数千円は覚悟する必要がありますが、沖縄では1,000円台〜2,000円程度で本格的なステーキセットが食べられるお店が数多く存在します。
この価格破壊の火付け役となったのが、後ほど紹介する「やっぱりステーキ」です。彼らのビジネスモデルは徹底的なコストカットに基づいています。券売機で人件費を削減し、ライス・サラダ・スープをセルフサービスの食べ放題にすることで、オペレーションを簡素化。その分、原価率を極限まで高めてお肉の質に還元しているのです。
昨今の世界的な牛肉価格の高騰や円安の影響で、かつてのような「税込1,000円ジャスト」で食べられるメニューは減ってきていますが、それでもこの価格帯で200g近いステーキセットが食べられるのは奇跡的です。「ファストフード感覚でステーキを食べる」。この気軽さこそが、学生からサラリーマン、観光客までを虜にする理由なんですね。
お待たせしました!ここからは、実際に国際通り周辺で「締めステーキ」を楽しむならどこに行くべきか、私の実食経験と最新の営業状況をもとに解説していきます。特に「深夜営業の有無」には注意して選んでくださいね。
今や全国に店舗を拡大している「やっぱりステーキ」ですが、本場・沖縄で食べる味と雰囲気は格別です。国際通り周辺には「4th 国際通り店」や「国際通り公設市場近店」などがあります。
まず最初に注意点です。「締めステーキの定番」として紹介されがちですが、国際通り周辺の店舗は公式には21:00閉店(L.O.20:30頃)となっているケースが多いです(※4th国際通り店などの公式案内参照)。グルメサイトなどには古い「翌3:00まで」といった情報が残っていることがありますが、現状は異なります。ですので、ここは「飲み会の後の深夜の締め」というよりは、「夕食としてガッツリ食べる」または「早めの時間の締め」として利用するのが正解です。
最大の特徴は「富士山の溶岩石プレート」。遠赤外線効果でお肉がふっくら焼き上がり、最後まで熱々のまま食べられます。そして名物「替え肉(かえにく)」システム。ラーメンの替え玉のように、お肉だけを100g単位で追加注文できます。ライス・サラダ・スープが食べ放題で1,000円台後半〜というコスパは依然として最強クラス。早い時間にサクッと肉欲を満たすなら、ここ一択です。
沖縄ステーキの代名詞とも言えるのが、1978年創業の老舗「ステーキハウス88(ハチハチ)」です。元々は米軍統治下で「CLUB 88」として営業していた歴史を持ち、店内に入ると、当時のアメリカンダイナーの雰囲気を色濃く残したネオンサインや、ボックス席のレトロな空間が広がっています。
88の凄さは、メニューのバリエーション。リーズナブルな赤身肉から、観光客に人気の「石垣牛ステーキ」まで、20種類以上が揃っています。そして、88ファンの多くが愛してやまないのが、セットについてくる「マッシュルームクリームスープ」です。独特のとろみがある優しい味わいで、これに卓上のブラックペッパーを多めに振って飲むのが通のスタイル。
国際通り店はアクセス抜群ですが、こちらも深夜営業については短縮傾向にあるため(現在は22:00〜23:00頃L.O.が多い)、日付が変わる前に行くのが無難です。「初めての沖縄ステーキで失敗したくない」という方は、まずはここを選べば間違いありません。
ちなみに、88は「にんにくじょうゆ」も絶品なのですが、これをご飯にかけて食べるのが地味に最高なんです。もし店舗に行けなくても、通販でこの魔法のソースや特製カレーが手に入ります。
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前述の通り、ハイウェイ食堂やいちぎん食堂といった「24時間営業のレジェンド」たちは姿を消してしまいました。また、家庭的な沖縄食堂として有名な「みかど」や「三笠(松山店)」も、実は深夜営業ではなく夜21:00〜22:00頃には閉店してしまうのが一般的です(※媒体により情報が錯綜しているため要注意)。
では、深夜1時、2時を回ってから「どうしてもステーキが食べたい!」となった時の救世主はどこか。現在の松山エリアで有力な候補となるのが「サウザンステーキ(松山店)」です。
サウザンステーキは、やっぱりステーキと同様に1,000円台からの高コスパステーキを提供するお店ですが、特筆すべきはその営業時間。公式情報などで「深夜〜翌朝まで(例:翌5:00)」の営業が案内されている数少ない店舗の一つです(※曜日や状況により変動するため必ず直前に確認してください)。
国際通りの喧騒が落ち着いた後、タクシーで松山まで移動し、ここで熱々のステーキとカレー(ここもカレーが人気!)を食べて締める。これが、2025年現在の「沖縄深夜ステーキ」のリアルな最適解と言えるでしょう。
「食事の時間もエンターテインメントとして楽しみたい!」という方には、「サムズ(SAM’S)」グループが最適解です。国際通り周辺には「サムズセーラーイン」や「サムズアンカーイン」など複数の店舗があり、それぞれが「客船の中」などのテーマを持った内装になっています。
サムズの最大の特徴は、全ての席が鉄板焼きスタイルになっており、担当のシェフが目の前で調理してくれること。ただ焼くだけではありません。塩コショウのボトルをジャグリングのように空中に放り投げたり、へら(コテ)をカチャカチャとリズミカルに鳴らしたりと、華麗なパフォーマンスを見せてくれます。
このパフォーマンスは動画映え抜群で、子供から大人まで大盛り上がり。カップルでのデートや、友人グループとの旅行で訪れれば、会話が弾むこと間違いなしです。営業時間はディナータイムが中心なので、こちらは「一次会」や「早めの締め」としてプランに組み込むのがおすすめです。
最後に、これまで紹介したお店が国際通りの「どのあたり」にあるのかを整理しておきましょう。国際通りは約1.6km(奇跡の1マイル)あり、端から端まで歩くと20分以上かかります。酔っ払って歩くのは大変なので、目的に合わせてエリアを選ぶのが賢明です。
| エリア名 | 特徴・目印 | 主な店舗 | 営業時間と利用シーン |
|---|---|---|---|
| 牧志駅周辺 (国際通り東側) | 「屋台村」や飲み屋街「栄町」に近い。 ゆいレール牧志駅すぐ。 | やっぱりステーキ 4th ステーキハウス88 国際通り店 | 【早めの締め・夕食】 公式には21:00〜22:00頃閉店が多い。 屋台村帰りにサクッと。 |
| 県庁前周辺 (国際通り西側) | オフィス街やデパートに近い。 落ち着いた雰囲気。 | サムズアンカーイン 鉄板焼ステーキレストラン碧 | 【ディナー・デート】 記念日や落ち着いて食事したい時。 パフォーマンスを楽しみたい時。 |
| 松山・前島 (徒歩圏内・58号線側) | 国際通りから徒歩10分〜。 沖縄最大の歓楽街。 | サウザンステーキ 松山店 (みかど・三笠は夜まで) | 【深夜・真の締め】 深夜営業ならサウザン等が有力候補。 移動前に電話確認推奨。 |
🚗 沖縄旅行の準備はできていますか?
深夜のステーキ店巡りや、少し離れた松山エリアへの移動、翌日の観光にはレンタカーがあると便利です。
楽天トラベルなら、沖縄県内で使えるレンタカーの割引クーポンや、国際通り周辺のホテルセール情報が頻繁に出ているので、予約前に一度チェックしておくことをおすすめします。
沖縄の夜、国際通りで過ごすなら、ぜひ一度は体験してほしい「締めステーキ」。最初は「本当に食べられるかな?」と半信半疑かもしれませんが、お店に入り、ジュージューと焼ける音を聞き、酸味の効いたA1ソースの香りを嗅げば、不思議と食欲が湧いてくるはずです。
早めの時間なら「やっぱりステーキ」や老舗「88」、深夜に突入したら松山の「サウザンステーキ」などを目指して移動する。このように時間帯とエリアを使い分けるのが、今の沖縄を楽しむコツです。あなたの旅のスタイルやその時の気分に合わせて、最高の一皿を選んでみてください。きっと、そのステーキの味は、青い海や空と同じくらい、強烈な沖縄の思い出として心に残ることでしょう。
※本記事で紹介した営業時間や価格、メニュー内容は執筆時点の情報です。特に深夜営業の状況は変動しやすいため、訪問前に必ず公式サイトや電話で最新情報をご確認ください。