SIGMA BF – 革新的なシンプルフルサイズカメラ
SIGMA BFは、シンプルさを極限まで追求したフルサイズミラーレスカメラです。特徴的なデザインと機能、そしてあえて省略された便利機能が、使う人に新たな撮影体験を提供してくれると思います。
主な特徴と仕様
高品質な一体型アルミボディ
- 一体鋳造ボディ: SIGMA BFは、7時間かけて一つのアルミブロックから削り出す世界初の真の一体型カメラです。シームレスな金属ボディは、非常に高い剛性とプレミアム感を実現しています。
- 質感とグリップ: ボディの片側にはダイヤモンドカットのテクスチャーが施され、手にしっくりと馴染む設計になっています。
シンプルな操作系
- ミニマルなコントロール: 従来のモードダイヤルや多数のボタンを排除し、背面には3つのボタンと1つのダイヤルのみ。各設定(シャッタースピード、絞り、ISO、露出補正、カラーモード)を直接調整できるシンプルな操作系です。
- タッチパネルとステータス表示: メインの3.15インチLCDは、余計なオーバーレイを排したシンプルなライブビューを提供し、ステータス表示で現在の設定を確認できます。

撮影機能
- センサー: 24.6メガピクセルの裏面照射型CMOSセンサー(35mmフルサイズ)を搭載。14bit RAW(DNG形式)および高解像度JPEG(6016×4012)を出力。
- カラーモード: SIGMA独自の13種類のカラーモード(フィルム風の色味を再現)を内蔵。クリエイティブな表現をそのまま撮影時に得られるよう工夫されています。
- オートフォーカス: ハイブリッドAF(位相検出+コントラスト検出)システムを採用し、顔認識や被写体認識機能も搭載。ストリート撮影やポートレート撮影において、動く被写体も追尾可能です。

動画撮影
- 動画性能: 最大6K(6016×3384)@24/25/30fps、4K UHD@最大30fps、1080p@最大120fpsでの撮影が可能。10bit H.264/H.265(HEVC)での記録やL-Logフラットプロファイルの採用など、動画性能も一定水準を維持しています。
- 制限: 4K/60pには対応せず、動画用の手ブレ補正(IBIS)は搭載せず、電子的な手ブレ補正(EIS)は重いクロップが伴う点が注意点です。
ISO感度・シャッターと連写性能
- ISO感度: 標準で100~102,400、ベースISOは320、拡張でISO6まで。低照度環境下での撮影も考慮されています。
- 電子シャッター: シャッターは完全に電子式(ローリングシャッター)で、1/25,600秒から30秒、さらに5分のブラケット撮影が可能。これにより、シャッター音が一切なく、振動もほとんどありません。
- 連写: 最大8fpsの連写が可能で、RAWファイルなら約350枚、JPEGなら約1000枚のディープバッファを持っています。
記録メディアと接続性
- 内部SSD: SDカードやCFexpressスロットは搭載せず、代わりに230GBの内部SSDに記録。USB-C(USB3.2 10Gbps)経由でデータ転送を行います。230GBで約4,300枚のRAW画像、または2.5時間の6K動画を保存可能ですが、外部メディアが使えないため、バックアップ方法には注意が必要です。
- 無線接続なし: Wi-FiやBluetoothは搭載されていないため、スマホ連携やワイヤレス転送は期待できません。

実際の使用感とレビュー
SIGMA BFは、その大胆なデザインと徹底したミニマリズムが高く評価される一方、あえて省略された機能に対する賛否両論があります。
ポジティブな評価
- コンパクトさとプレミアム感: 約130×73×37mm、重量約388g(バッテリー除く)の超コンパクトなボディは、持ち歩きに最適。手にしたときの「高級感」と「美しさ」が評価され、街中でのスナップ撮影や旅行撮影に適しています。
- シンプルな操作: 多機能な操作パネルではなく、必要最低限の操作系で直感的に設定変更ができるため、写真撮影そのものに集中できるという意見もあります。
- デザイン: アートピースのような外観から「見るだけで話題になる」とも評され、一部のユーザーはこれを魅力として受け入れています。
注意すべき点
- 省略された機能:
- EVF(電子ビューファインダー)の不在: 撮影は背面のLCD画面のみで行うため、光の強い環境ではやや不便です。
- 外部記録メディア非搭載: 内蔵SSDのみのため、万一のトラブルや大量撮影時のバックアップに不安があります。
- 電子シャッターの限界: ローリングシャッターによる被写体の歪み、フラッシュの使用不可などの制約があります。
- 入出力端子の制限: ホットシューやマイク・ヘッドフォンジャックがないため、外部アクセサリの利用に制約がある点も指摘されています。

同カテゴリーの他製品との比較
SIGMA BFはその独自のミニマリスト設計で一線を画していますが、以下の製品と比較されることもあります。
Panasonic Lumix S9
- 機能面の充実: Lumix S9は、EVFやIBIS、デュアルカードスロットなど、多くの機能を搭載しており、より実用的なカメラです。コンパクトさでは共通点があるものの、機能重視のユーザーにはS9の方が適している場合が多いとされています。
Leica製品との比較
- デザイン哲学: Leica TLシリーズやMシリーズは、シンプルなデザインと操作性を追求しており、SIGMA BFのコンセプトと共通する部分があります。ただし、LeicaはEVFやアナログ操作、オプションアクセサリを用意しているため、より実用的な選択肢となっています。
また、Sony α7C IIやCanon EOS RP/R8など、他の小型フルサイズカメラとも比較されますが、これらはEVFや多機能な操作系を備えているため、BFとは根本的に異なるアプローチを取っています。
価格と購入場所
SIGMA BFはプレミアムかつニッチな製品として、価格もそれに見合った設定になっています。
- 価格: 本体のみで約1,999USD。日本では税込約385,000円前後で販売される予定です。
- 流通: 世界各国の正規代理店およびオンラインショップ(米国ではB&H Photo、Adorama、Amazonなど)で予約販売が開始されており、日本ではSigma公式オンラインショップ、ヨドバシカメラ、ビックカメラなどで取り扱いが予定されています。
- 発売時期: グローバルで2025年4月から出荷予定です。
また、BFに合わせたLマウントレンズも発売されています。SIGMAは、BF専用に9種類の「Iシリーズ」単焦点レンズ(17mm~90mm)を展開しており、統一感のあるデザインと高い光学性能が魅力です。これらは別売となりますが、コンパクトなボディとの相性が良いと評価されています。
総評
SIGMA BFは、シンプルで美しいデザインと徹底したミニマリズムを追求するカメラです。高品質な画像性能と独自の操作性は、日常のスナップ撮影やストリート、旅行撮影に最適ですが、一方で従来の利便性(EVF、カードスロット、外部アクセサリ対応など)が省略されているため、プロフェッショナルや高度な操作を求めるユーザーには物足りなさを感じる可能性があります。
「美しくもあり、どこか愚かさもある」と揶揄されることもあるこのカメラは、あえて写真撮影の本質に立ち返り、シンプルな操作と直感的な撮影体験を追求するユーザーにとって、魅力的な選択肢となるでしょう。