楽しい旅行が終わって帰宅した瞬間、どうしようもない寂しさに襲われて涙が出てしまう。長期休暇明けの仕事が憂鬱でたまらない。──そんな経験、珍しいことではありません。
旅行から帰って「帰りたくない」「明日がこわい」と感じるのは、あなたが弱いからでも、甘えでもありません。旅行中の“非日常”から日常へ切り替わるとき、心と体にはそれなりの負荷がかかります。この記事では、その負荷を少しでも小さくして、日常にソフトランディングするための具体策をまとめます。
- 旅行後に気持ちが沈むのが「よくある反応」である理由がわかります
- 仕事への憂鬱さや遠距離の寂しさを和らげる現実的な方法が見つかります
- 子どもが旅行帰りに不機嫌になる“ありがちな要因”と対処のコツを学べます
- 次の楽しみを作りつつ、今をラクにする整え方がわかります
旅行から帰りたくないし泣く理由とは
あんなに楽しかった時間が終わって、家のドアを開けた瞬間に涙が出る。この感情は「わがまま」ではなく、旅行中と帰宅後の“環境の差”と“切り替え負荷”で起こりやすい反応です。まずは仕組みを知って、責めない準備から始めましょう。

長期休暇明けの仕事が憂鬱になる心理
長期休暇明けに「明日から仕事か…」と考えただけで胃が重くなったり、涙が出たりするのは、とても一般的です。大きな要因の一つとして、「自分で選べている感覚(自律性)」が急に減ることがあります。
旅行中は「今日は何時に起きる?」「どこへ行く?」「何を食べる?」を自分で選べます。でも帰宅して仕事が始まると、時間割・ルール・人間関係など、他者や制度に合わせる場面が増えます。この落差が大きいほど、心はストレスを感じやすくなります。
旅行が輝いていた分だけ、帰宅後の日常が必要以上に色褪せて見えることがあります。これは、体験の“対比”が強まることで起こる自然な感じ方です。
もし普段の職場に人間関係や業務量などのストレスがあるなら、旅行が「避難所」になっていた分、戻る怖さが強く出ることもあります。泣いてしまうのは、その緊張や不安が身体反応として表に出ているだけのことも多いです。
旅行帰りに仕事行きたくない理由
旅行後の落ち込みは「気合いが足りない」せいではなく、脳と体が“刺激の多い状態”から“いつもの状態”へ戻る途中で起きることがあります。
新奇性が減って、気分が落ちやすくなる
旅行中は、初めての景色・食べ物・予定の変化など“新しい刺激”が多く、脳は活発に働きます。一方、帰宅後は刺激が一気に減り、気分の高揚が落ち着いて「虚無っぽさ」や「つまらなさ」を感じることがあります。
ここを「脳内物質が枯渇した」「離脱症状だ」と断定するのは言い過ぎですが、旅行中と帰宅後で“テンションの出方”が切り替わるのは、体感として十分起こりえます。
日光・睡眠・疲労でメンタルがブレやすい
旅行は移動や寝不足で体力を使い、生活リズムも乱れがちです。さらに、帰宅後に屋外の活動が減ったり、デスクワーク中心に戻ると、気分の安定に関わる要素(光・運動・睡眠)が不足しやすくなります。
つまり、「疲れ」と「リズムの乱れ」と「刺激の落差」が重なると、普段よりネガティブに傾きやすい、ということです。
涙が止まらないのは“キャパオーバー”のサインかも
帰りの新幹線や飛行機の中、帰宅直後に「涙が止まらない」場合、それは“楽しかった反動”に加えて、これから始まる現実(仕事、家事、人間関係、孤独など)への不安が膨らんでいるサインかもしれません。
泣くことには、気持ちを外に出して落ち着く助けになる面があります。ただし、泣けば必ずスッキリするとも限らず、人や状況によります。大切なのは、「泣いてしまう自分」を責めないことです。
注意:「いい大人が泣くなんて」と抑え込みすぎると、かえって不眠・頭痛・胃の不調などに出ることもあります。まずは“今しんどい”を認めてOKです。
涙が出るほど辛いのは、あなたが日常で何かを我慢してきた可能性もあります。旅行でいったん緩んだ分、抑えていた感情が出ただけかもしれません。「弱さ」ではなく「反応」だと捉えてみてください。
子どもの機嫌を治す方法と癇癪
子連れ旅行の帰りに、子どもが癇癪を起こして泣き叫ぶこともよくあります。これはワガママというより、子どもが「悲しい」「まだ遊びたい」「疲れた」などの感情をうまく整理できず、爆発しているケースが多いです。
子どもが旅行帰りに不機嫌になりやすい要因
- 刺激が多すぎた(オーバースティミュレーション):いつもより音・光・情報が多く、興奮が抜けにくい
- 疲れすぎ(オーバータイアード):限界まで遊んで体力が尽き、感情のブレーキが効かない
対処の基本は、説得よりも“刺激を減らして休ませる”こと。車なら日差しを遮る、静かな音にする、軽食と水分を用意する、抱っこやブランケットで安心感を作るなどが役立ちます。もし落ち着くなら、シールブック等の静かな遊びを“帰りの奥の手”にするのもおすすめです。
新しいおもちゃ(シールブックなど静かに遊べるもの)を「帰りの秘密兵器」として隠し持っておくのも有効です。
私の経験上、こういった「貼って剥がせるタイプ」だとゴミが出ないので、新幹線や飛行機の中でも親のストレスが少なくて済みますよ。
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なお、癇癪の頻度や強さには個人差があります。旅行以外でも困り感が強い場合は、小児科や発達相談などに軽く相談してもOKです。
旅行から帰りたくないし泣く時の対処法
ここからは、精神論ではなく「切り替え負荷を下げる」ための具体策です。ポイントは、急ブレーキを踏まないこと。段階的に戻します。

旅行後の落ち込みを整える具体的な行動
1. 感情に“出ていいよ”と言う(泣いてもOK)
「泣いちゃダメ」と思うほど、気持ちは詰まります。家で安全に泣けるなら、泣いて大丈夫。言葉にできるなら「寂しい」「終わっちゃった」と口に出すと、頭の中が整理されやすくなります。
2. 帰宅日は“最低限”で終わらせる
荷解き・洗濯・片付けを完璧にやろうとすると、疲れている心身には負担です。スーツケースは玄関に置いたままでOK。食事もコンビニやデリバリーでOK。まずは睡眠と回復を優先してください。
3. 可能なら「バッファーデー(緩衝日)」を作る
可能であれば、旅行の帰宅日と仕事開始日の間に1日だけでも“空白日”を作ると、切り替えが楽になります。洗濯や買い物などの“日常の小さい動き”で、体をゆっくり戻すイメージです。

五感で“旅→日常”をなめらかにする(現実逃避ではなく回復)
旅行の世界と日常をつなぐのに、五感はすごく役立ちます。脳は香りや味などの“手がかり”で気分が動きやすいからです。
| アイテム・感覚 | 狙いと使い方 |
|---|---|
| 嗅覚(アロマ・石鹸) | 旅先で使った香りを“日常のどこか”に持ち込む。香りは気分や記憶と結びつきやすいので、落ち着く手がかりになります。 |
| 味覚(お茶・お菓子) | 朝のお茶やコーヒーを旅先のものにするなど、“日常の中の非日常”を少しだけ残すと、落差が和らぎます。 |
| 触覚・温熱(ホットアイマスク等) | 目を温めて暗くするだけでも、情報量が減って休息モードに入りやすいです。泣いた後の目のケアにも。 |
具体的には、こういったアイテムを常備しておくと安心です。特にホットアイマスクは、泣いた後の目の重さをスッと取ってくれるので、私の必須アイテムになっています。
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特に、旅先で撮った写真を整理してフォトブックにする作業はおすすめです…
おすすめはフォトブックやアルバム作り。写真を選んで並べる作業は、「体験を整理して“自分の記憶として置く”」のに役立ちます。スマホの中に埋もれさせるより、気持ちが落ち着く人も多いです。
仕事を辞めたい気持ちへの向き合い方
旅行のたびに毎回「仕事が無理」「出勤を考えると動悸がする」「涙が止まらない」などが強く出るなら、旅行の反動だけでなく、普段の環境ストレスが限界に近い可能性もあります。
厚生労働省の情報提供サイトでも、ストレスサインとして「気分の落ち込み」「涙もろくなる」などの変化に注意が促されています。
(出典:厚生労働省「こころの耳」)
目安:眠れない・食欲がない・気分の落ち込みが続く・出勤前に強い不安や身体症状が出る、などが2週間以上続く場合は、早めに心療内科やメンタルヘルス相談(産業医、地域の相談窓口など)に相談してください。
また、もし「消えてしまいたい」「自分を傷つけたい」などの考えが出るほど追い詰められているなら、ひとりで抱えないでください。身近な人・職場の窓口・医療機関に加えて、緊急時は119 / 110などの緊急連絡先も使って大丈夫です。
日常を少し楽にする現実的な工夫としては、“プランB(逃げ道)”を用意するのも有効です。「辞めてもいい」「転職サイトを眺めるだけ」でも、“選択肢がある”という感覚が圧迫感を下げます。
旅行ロスを乗り越える次の計画【コレが一番おすすめ】
旅行ロスを軽くする定番の方法は、「次の楽しみを作ること」です。
次の楽しみという「光」を日常の中に灯すことで、今の辛い現実を乗り切るエネルギーが湧いてきますよ。
楽天トラベルで「憧れのホテル」をお気に入り登録しておくだけでも、脳へのご褒美になります。
人は、報酬そのものだけでなく、“楽しみを予測している時間”にも気分が上向きやすいと言われます。つまり、次の予定があるだけで、心が前を向く助けになります。
具体的な予約までしなくてもOK。「次は沖縄の離島」「次は温泉」「次はこのホテル」みたいに、Googleマップを見たり、写真を集めたり、手帳に「旅行(仮)」と書くだけでも十分です。
旅行から帰りたくないし泣く人のまとめ
旅行から帰りたくなくて泣いてしまうのは、恥ずかしいことではありません。それだけ旅が充実していて、そして日常に戻る切り替えが大変だったというサインです。
無理に「明日から頑張ろう」と急がなくて大丈夫。まずは休む・刺激を減らす・少しずつ日常のリズムに戻す。旅の余韻は、香りや味、写真などで上手に“日常に混ぜて”いきましょう。次の楽しみも、小さく仕込んでおくと回復が早くなります。


